MFJ全日本ロードレース選手権シリーズ 第7戦 スーパーバイクレースin鈴鹿日時:2025年10月26日(日)会場:鈴鹿サーキット(三重県)天気:雨路面:ウェット MFJ全日本ロードレース選手権シリーズの2025年最終戦となる第7戦は、「第57回 MFJグランプリ スーパーバイクレース in 鈴鹿」として、10月25日(土)~26日(日)に三重県の鈴鹿サーキットで開催。全日本格式のうちJ-GP3クラスの決勝レースは、日曜日の午前中に実施した。 予選を実施した土曜日の午後から断続的に雨が降り、日曜日は朝から雨。これにより路面は完全なウェットコンディションとなり、周回数は2周減算の11周となった。決勝スタート時の気温は約20℃。細かい雨が、かなり多めに降っている状況だった。 このクラスは、前戦で尾野 弘樹選手(P.MU 7C GALESPEED)のシリーズタイトル獲得がすでに決まっているが、その尾野選手は予選の転倒とペナルティにより、決勝は最後尾の20番グリッドスタートとなった。■J-GP3クラス/決勝 ポールポジションスタートの中谷 健心選手(MotoUP Jr Team)が、オープニングラップからライバルたちを圧倒。まるで1台だけ別のクラスを走っているかのような独走で、全日本初優勝を挙げた。前日の予選はハーフウェットでのトップタイムだったが、フルウェットとなった日曜日朝のウォームアップ走行でも、ベストラップタイムで2番手を約2.9秒も離す驚速ぶり。そして決勝では、順当にホールショットを奪うと、セクター1だけで約2.5秒も後続を離した。この1周目、中谷選手は約6.4秒のリード。2周目には約11秒、3周目には約16秒、そしてレースが中盤に入る4周目には約21秒までアドバンテージを拡大した。 もはやこの段階で勝負はついていたが、中谷選手はなおも異次元の速さをキープ。6周目にはついに、2番手に対するリードは約31秒まで拡大した。レース終盤、中谷選手はさらに速さを見せつけた。8周目以降、最終ラップの11周目まで4週連続でファステストラップタイムを更新。まさに水を得た魚のように鈴鹿サーキットを単独で走り続け、終わってみれば2位以下を約46秒も離して全日本初優勝をマークした。独走で全日本初優勝を遂げた中谷 健心選手 この中谷選手とは対照的に、最後まで大混戦となったのが2番手争いだった。1周目は9台が僅差で連なり、この中には予選5番手の徳留 真紀選手(MARUMAE MTR PlanBee Racing)や、最後尾の20番グリッドから序盤のS字コーナーまでに9番手まで順位を上げてきた5年連続チャンピオンの尾野 弘樹選手(P.MU 7C GALESPEED)も含まれたが、徳留選手はジャンプスタートによるライドスルーペナルティで大きく後退。ウェットコンディションをやや苦手とする特別参加枠ながら予選2番手の富樫 虎太郎選手(SDG Jr. 56RACING)らが後退し、2周目の段階で仲村 瑛冬選手(TeamLife.HondaDream Kitakyushu)、尾野選手、岡崎 静夏選手(JAPAN POST Honda RACING TP)、大田 隼人選手(MARUMAE Dream Kitakyushu CPARIS)、松田 基成選手(Like a Wind・CLUB Y's)が集団を形成した。 3周目以降、この5台は7番手の松島 璃空選手(BREASTO B-TRIBE RACING)を周回ごとに引き離しつつ、接近戦を続けた。3周目には尾野選手が先頭に立ったが、その後も順位変動は激しく、岡崎選手や仲村選手や大田選手が先行するシーンも。集団の中でも目まぐるしく順位の入れ替えがあった。レース終盤、雨脚は少し弱まったが、5台のバトルは激しいまま。10周目には、尾野選手が約0.5秒先行したが、デグナーカーブでミスして後続が再びギュッと詰まり、Nissinブレーキヘアピンには尾野、岡崎、大田、仲村、松田の順で進入した。 スプーンカーブでは大田選手がミスして集団の最後尾となり、西ストレートの駆け上がる段階では尾野選手と岡崎選手がやや抜け出した状態。最後は尾野選手がしっかりラインを抑え、尾野選手が2位、岡崎選手が3位を獲得した。1秒ほど離れた4位争いでは、松田選手が先頭に立ち、大田選手は西ストレートで挽回。松田選手が4位、大田選手が5位、中村選手が6位となった。#4岡崎 静夏選手と#1尾野 弘樹選手は何度もトップを入れ替えるバトルを繰り広げた4位を獲得した松田 基成選手■優勝/中谷 健心選手コメント「優勝できて本当にうれしいです。最終戦にこんな天気になってしまって残念ですが、それでも現地まで観戦に来てくださった皆さん、本当に大好きです! 日曜日朝のウォームアップ走行で、他のライダーたちとラップタイムの差がかなりあることはわかっていたので、決勝はいつもどおり自分の走りに集中しようと思いました。転ばないことだけを意識して走っていましたが、自分の中ではけっこう余力があり、思った以上にイケる感じがありました。レース終盤は、会場を盛り上げたいという気持ちが湧いてきて、ちょっとだけペースを上げました。チェッカーを受けたとき、初めて前に誰もいない全日本のコースを眺められ、とてもうれしく思っています」■2位/尾野 弘樹選手コメント「予選でちょっと問題を起こしてしまい、決勝は最後尾グリッドからのスタートになってしまいましたが、それでも今季最終戦を2位で終われたことは良かったと思います。朝のウォームアップで、中谷選手がかなりいいペースだったので、自分にできる最低限の仕事は表彰台圏内でゴールすることだと考えました。できる限りのことはできたと思います。中谷選手がかつてMiniGPに参戦していた時代に、自分がアドバイザーという立場にいたので、負けたことは悔しくもあり、初優勝をうれしくも感じているというのが正直なところ。でも今日はとにかく、中谷選手の健闘を称えたいと思います」尾野弘樹選手は鈴鹿でランキング表彰された■3位/岡崎 静夏選手コメント「各コーナーに応援してくださる方々がいらっしゃって、とてもありがたかったです。雨が苦手という意識がある中で、なんとかこの位置にいられました。正直なところ、尾野選手と戦えるとは思っていませんでした。とはいえ、バトルの間は『また尾野 弘樹劇場の団員させられているなあ』と思いましたが……。中谷選手が速いことはわかっていたので、チームからは『ムリに追いかけるようなことはせず、落ち着いて』とアドバイスされていたし、最低限の仕事はできたと思いますが、チームメイトの若松 怜選手が欠場していなかったら自分は4位だったと思うので、本当は尾野選手に勝って2位でゴールしたかったです。中谷選手には、早く世界の舞台で活躍してほしいと願っています」リザルトMFJ全日本ロードレース選手権シリーズ 第7戦 スーパーバイクレースin鈴鹿公式サイト鈴鹿サーキット関連情報全日本ロードレース第7戦 第57回 MFJグランプリ スーパーバイクレース in 鈴鹿