2025MFJ全日本ロードレース第6戦 スーパーバイクレース in 岡山日時:2025年10月5日(日)会場:岡山国際サーキット(岡山県)天気:晴れ路面:ドライ 2025年のMFJ全日本ロードレース選手権シリーズ第6戦は、「スーパーバイクレース in 岡山」として10月4日(土)~5日(日)に岡山国際サーキットで開催。今大会のJSB1000クラスは、他のクラスと同様に決勝が1レースのみの設定で、日曜日午後に24周で実施した。 金曜日朝からの断続的な降雨により、この週末はずっとウェットコンディションだったが、決勝日の午前7時頃にようやく雨が完全に止むと、10時頃から急激に天候が回復。最高気温は28℃ほどに達し、当初の予定から約55分遅れとなる14時45頃にスタートしたJSB1000クラスの決勝は、陽射しが降り注ぐドライコンディションに恵まれた。■JSB1000 Supported by ETS Racing Fuels(JSB1000クラス)/決勝 前戦終了時点でのシリーズランキングは、中須賀 克行選手(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が160点を獲得して首位。2番手の浦本 修充選手(AutoRace Ube Racing Team)は、海外レース参戦に伴う今大会の欠場でタイトル争いから脱落することになり、逆転王者の可能性を残すのは、80点でランキング3番手につける伊藤 和輝選手(Honda Dream RT SAKURAI HONDA)のみになっていた。2レースが実施される最終戦はMFJグランプリで、各レースの獲得ポイントに3点プラスされるため、今大会と最終戦のレースをすべて優勝した場合に獲得できるのは81点。このため、今大会で中須賀選手が1点を獲得する(15位以内でゴールする)か伊藤選手が優勝できなかった時点で、中須賀選手のタイトル奪還が確定する。 しかし中須賀選手が狙うのは、あくまでもこのレースでの勝利と、圧倒的速さの証明だった。フロントローの3番グリッドからレースに臨んだ中須賀選手は、スタート直後の1コーナーをグリッドどおりの3番手でクリア。その前ではポールポジションスタートの水野 涼選手(DUCATI Team KAGAYAMA)とセカンドローの4番手からジャンプアップしてきた長島 哲太選手(DUNLOP Racing Team with YAHAGI)が接戦を繰り広げ、コの字状に左90度ターンが連続するセクションの1個目となるリボルバーコーナーで長島選手が先頭に立つと、続くパイパーコーナーですかさず中須賀選手も水野選手をパスして、2番手に順位を上げた。 2周目、長島選手は必死にトップを守ろうとしていたが、ヘアピンコーナーで中須賀選手がインに飛び込み、切り返したリボルバーコーナーでトップ浮上。早めの仕掛けで先頭を奪った。するとここから、中須賀選手の独壇場に。僅差の2番手争いを繰り広げる3台を尻目に、中須賀選手は周回ごとにリードを拡大していった。このレースでのファステストラップタイムは9周目に自身がマークした1分31秒318だったが、3周目以降の中須賀選手は常に1分31秒台。ベストラップタイムで辛うじて1分31秒台に入れられたのは野左根 航汰選手(Astemo Pro Honda SI Racing)だけという状況の中、後続をじわじわと引き離し、16周目の段階で2番手とのギャップは10秒以上となった。 17周目、ようやく中須賀選手のタイムは1分32秒050に落ちたが、それでもなお手を緩めず、18~19周目は再び1分31秒台。まさに圧巻の走りでトップを独走した。レースは、中須賀選手がファイナルラップとなる24周目に突入したところで、転倒車両がコース上に残ったことから赤旗中断となり、そのまま22周目終了時点の順位でレースが成立。チェッカーフラッグは受けられなかったが、完璧な独走優勝により、最終戦を待たずして中須賀選手が自身通算13度目の全日本最高峰クラスチャンピオンに輝いた。独走優勝でタイトルを決めた#2中須賀 克行選手 一方、2番手争いは最初から最後まで接戦となった。5番手以下位を徐々に離しつつ繰り広げられた、長島選手と水野選手と野左根選手によるバトルは、5周目のヘアピンコーナーで野左根選手が水野選手をパス。レースが中盤に入ると、水野選手が1周につきコンマ数秒ずつ遅れはじめ、これで長島選手と野左根選手の一騎打ちとなった。16周目、一度は野左根選手が前に出たが、すぐに長島選手が再逆転。なおもドッグファイトが続き、22周目のヘアピンコーナーで再び野左根選手が先行した。それでも長島選手は諦めずに野左根選手を追い、最終ラップとなる24周目に突入する段階では0.562秒差。しかしここで赤旗が提示され、レースは22周終了時点で成立となったため、野左根選手が2位、長島選手が全日本最高峰クラス初表彰台となる3位でゴールした。激しい一騎打ちを繰り広げた#4野左根 航汰選手と#10長島 哲太選手 水野選手は前の2台に離され続け、レース終盤は単独走行となって4位でゴールした。レース中盤には、前戦で負傷した名越 哲平選手の代役となる2023~2024年ST600クラス王者の阿部 恵斗選手(SDG Taem HARC-PRO.Honda)を先頭に、津田 拓也選手(Team SUZUKI CN CHALLENGE)と岩田 悟選手(Team ATJ)と鈴木 光来選手(Team ATJ)と伊藤選手の5台が連なった5番手争いでは、10周目に津田選手が先頭に立ち、17周目には伊藤選手が阿部選手をパス。津田選手は集団を置き去りにしてレース後半は単独走行となり、伊藤選手もその後に阿部選手を引き離した。24周目には、鈴木選手を僅差で抑えていた阿部選手が転倒し、この影響でレースが終了。22周目の順位により津田選手が5位、伊藤選手が6位、規定により阿部選手の順位が除外されて鈴木選手が7位、岩田選手が8位となった。予選トップだった水野 涼選手は惜しくも表彰台を逃した■優勝/中須賀 克行選手コメント「公開テストでドライに関する手応えは得られたのですが、レースウィークに入ってからはずっと雨予報で、すごくナーバスになっていました。ウェットでは水野選手が一歩リードしており、雨だとキツいと思っていましたが、幸運にも決勝はドライに。テストで自分のアベレージがいいこともわかっていましたが、長島選手のロングランやラップタイムが非常にいいことも知っていたので、絶対に狙ってくるはずと思い、とにかく序盤からトップを走り、自分のアベレージを刻むことに集中しました。先にJ-GP3クラスで尾野選手が優勝でチャンピオンを決めていたので、自分も全力を出し切ってシリーズタイトル獲得を決めようと考えていました。13回目ですが、何回経験してもチャンピオンを決めるレースというのは緊張します。そういう中でしっかり支えてくれたチームスタッフ、そしてファンの方々に感謝しています!」■2位/野左根 航汰選手コメント「スタートでローンチコントロールがうまくセットできず、手動で初めてスタートしたら得意のスタートダッシュが決められず、やや埋もれ気味になってしまいました。このサーキットはパッシングが難しいので、それがまずは誤算。その後、このレースウィークはずっとウェット走行だったため、想像以上にドライの感覚を取り戻すことに時間を要しました。スタート直後に長島選手と水野選手がやり合ってくれていたので、自分もついていくことができましたが、仮に自分が前を走っていたらペースは上げられなかったと思います。金曜日のスポーツ走行で、得意意識があったウェットで上手く走れず、焦りから大きな転倒を喫し、メインカーを壊してしまいました。最初から流れの悪い大会になってしまいましたが、そういう中で2位を獲得できたのはうれしいです」■3位/長島 哲太選手コメント「長かった、というのが正直なところ。とても感慨深いです。日本へ戻ってきて、2024年からJSB1000クラスに参戦。レベルが高いことはわかっていましたが、ダンロップと新たな挑戦をする決断をしました。その初戦からいいレースができている中、課題は常に明確でしたが、昨年は課題を露わにすることしかできず、もどかしさを感じていたし、何度も心が折れそうになりました。でも今年に入ってから、少しずつ改善の手応えを感じられるようになり、レースのたびにアップデートを実感できるようになりました。本当に前進しているのか、自分の開発力を含めてどうしても迷うことがあるんです。でも今回、このようなリザルトを残せたことで、ダンロップにとっても大きなデータになるし、自分の自信にもつながると思います」リザルトMFJ全日本ロードレース選手権シリーズ 第6戦 スーパーバイクレースin岡山公式サイト岡山国際サーキット関連情報全日本ロードレース第6戦 スーパーバイクレース in 岡山