“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第44回大会【8月4日(金)〜6日(日)開催】長島哲太選手写真提供:鈴鹿サーキット 7月5日(水)・6日(木)の2日間、鈴鹿サーキット(三重県)で、鈴鹿8耐合同テストが行われた。初日の午後から雨が降り始めて、ナイトセッションはウエットコンディションとなったが、2日目は快晴に恵まれて各チームとも本番モード全開。中でも好調だったのは、昨年の鈴鹿8耐優勝チームのTeam HRC。対して、昨年のEWCチャンピオンで、今年の開幕戦ル・マン24時間を制したF.C.C. TSR Honda France、第2戦スパ24時間で優勝したYART YAMAHA OFFICIAL TEAM EWC、渡辺一樹選手が所属するTeam Kawasaki Webike Trickstar、そして一昨年のEWC覇者Yoshimura SERT MotulやBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMのEWCレギュラーチームも参加。1ヶ月後に迫った本戦に向けて、マシンなどの最終チェックを行なった。HondaワークスのTeam HRCが好調 2日間のテストで好調だったのがTeam HRCだ。今年は全日本ST1000を戦う高橋巧選手、スーパーバイク世界選手権のチャビ・ビエルゲ選手とイケル・レクオーナ選手の布陣。巧選手は鈴鹿8耐の最多タイとなる5勝目がかかる大切な一戦。レクオーナ選手は、昨年、鈴鹿8耐に初参戦して初優勝。「今年ももちろん優勝。もう一度、表彰台のいちばん高い場所からの景色を味わいたい」と熱いメッセージを残した。マシンは昨年仕様をベースにしているとのことで、その完成度の高さは継承されている。 そして今回のテストで長島哲太選手が出走した。昨年の鈴鹿8耐マシンを開発し、Team HRC優勝の立役者となった長島選手だが、今年は怪我により、今回が復帰走行。それでもセッション1でトップタイム2分6秒258を記録し存在感をアピールした。高橋巧選手今年はEWCフル参戦チームの戦いが激化する EWC勢では、昨年のチャンピオンチーム、F.C.C. TSR Honda Franceが好調だ。この鈴鹿8耐は、年間4戦で争われるEWC世界耐久選手権シリーズの第3戦だが、F.C.C. TSR Honda Franceは今年の開幕戦ル・マン24時間を制して、第2戦スパ24時間では2位と大活躍。ライダーはジョシュ・フック選手、マイク・ディメリオ選手、アラン・テシェ選手。昨年、ジーノ・リア選手が転倒して重傷を負ったが、今年のル・マン24時間会場に元気な姿を見せたのは嬉しいニュースだ。フック選手 YART YAMAHA OFFICIAL TEAM EWCも鈴鹿8耐で注目だ。耐久チームでありながら、抜群の速さに定評のあるチームだからだ。ライダーはニッコロ・カネパ選手、マービン・フリッツ選手、カレル・ハニカ選手の不動の3人。今年の第2戦スパ24時間で優勝し、10年ぶりに24時間レースを制して波に乗る。フリッツ選手 今年はアクシデントとの戦いが続いているYoshimura SERT Motulだが、グレッグ・ブラック選手、シルバン・ギュントーリ選手、エティエンヌ・マッソン選手とライダーの実力は高く、何よりチーム力が群を抜いている。チームのリカバリー力の高さが現在ランキング4位につながっていると言っていい。ヨシムラは、鈴鹿8耐第1回大会の優勝チームとして知られており、今大会でも大きな期待が寄せられている。ギュントーリ選手 鶴田竜二氏が監督に就任し、新チームとして動き始めたTeam Kawasaki Webike Trickstar。ライダーに渡辺一樹選手を迎え、ランディ・ド・プニエ選手、グレゴリー・ルブラン選手と全員が百戦錬磨の精鋭だ。鶴田監督は1990年の全日本TT-F3チャンピオンで、ライダー視点を持つ監督として期待される。渡辺一樹選手 そして注目を集めているのがBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMだ。ライダーはマーカス・ライターベルガー選手、イルヤ・ミハルチク選手、ジェレミー・ガルノニ選手。スパ24時間で3位に入り、ライターベルガー選手は翌週にスポーツランドSUGOで行われたFIM アジアロードレース選手権でのASB1000レース2で優勝。底知れぬ体力の持ち主だ。ただ、今回のテストでは、チームはマシンのセットアップに苦しみ、レースウイークからの巻き返しをねらっている。耐久レースと言えば 耐久レースと言えば、注目されるのがピットワーク。前後タイヤの交換、給油、ライダー交代を行なって、わずか15秒程度でピットアウトしていく姿はまさに圧巻。もちろんこれは練習の賜物だが、実はその素早さには秘密がある。フロントタイヤ編フロントタイヤを引き抜くと、キャリパーが開くようになっている。そして新しいタイヤを押し込めば、キャリパーは元の状態に戻るシステムで、これによってフロントタイヤ交換の時間が劇的に短縮されている。給油システム今大会のみ二口の給油口が認められているが、EWC世界耐久選手権では一口に統一されている。二口の場合、片方が給油口で、片方が燃料タンク内のエア抜き口で一口とのスピード調整のためにリストリクターが入っている。一口の場合もエア抜きシステムが備わっていて、このエア抜きが素早い給油を実現している。トップチームの多くは何秒で満タン量が入るかを把握しているので、給油用タンクの目盛を見ながらの作業などということはない。